誰もが思いつくリスクの取り方 「ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンを安易に捉える」



●大きなリスクを背負えば大きなリターンが得られるという現実を受け止め、ハイリターンのためにハイリスクをとる、いわば「賭け」に出る人は少なからずいます。大きなリスクを背負いさえすれば、うまくいくという考え方です。


■フルローンでマンション1棟買い

Aさんはサラリーマンです。憧れの不動産オーナーになるために、思い切って銀行から莫大な借入を行い、自己資金無しでマンションを1棟買いしました。
大きな負債を抱えることになってしまいましたが、手にした資産も大きなものです。毎月の家賃収入は毎月の返済額を余裕を持って上回っているので、Aさんは「ハイリスクであるけれども、思い切って行動に出たことで、ハイリターンを得られている」と思っているようです。ハイリスクを受け入れるという勇気ある行動によって、ハイリターンを獲得できるようになったと思っているようです。

物件選びをしっかりと行うなどして、空き室リスクなども回避できるよう努力しました。その甲斐あって、満室経営で順調な日々が数年続きました。

・・・十数年後、建物の老朽化が進み、近隣に新しくできたマンションの影響などもあって、Aさんのマンションには空き室が増えていくようになりました・・・。




●ローリスクであれば、大きな失敗をすることなく堅実なリターンを得られるようになると考える人は多いようですね。

■新築ワンルーム投資

Bさんはごく普通のサラリーマン。長年コツコツと貯蓄してきたお金を投資して、堅実な副収入を得られるようにしたいと考えているようです。

自己資金とほんの少しの融資をもとにした投資であれば、大きなリターンは得られないけれども、大きな失敗をすることなく、堅実に稼げる道が拓けると思ったようです。


Bさんは、今人気の「区分所有投資」をすることにしました。新築ワンルームを購入して、これを貸すという「不動産投資」です。

新築マンションを購入したため、当初は入居者がすぐ決定し、毎月安定的なお金が得られるようになりました。しかしながら、かかったお金と得られるお金を比べてみると、Bさんの儲けは毎月微々たるものでした。

数年後、Bさんのワンルームには居住者がいない状態が続くようになりました。家賃を安く設定すれば赤が出てしまいます。かといってそのままの家賃設定では入居者が決まらないようです。思い切ってワンルームを手放そうにも、安い価格で買い叩かれてしまうようです・・・。


★教訓:「リスクを正しく認識できていなければ、ギャンブルをしているのと変わりは無い」

紹介した2つの事例は、「ハイリスクハイリターン」と「ローリスクローリターン」の2つについて、安易に捉えてしまった実際あった失敗事例です。共通しているのは、「リスク」についての捉え方が少し間違っているという点です。リターンもリスクも、全て土台には「顧客」の存在が無ければなりません。
不動産投資を行う側にとっては、投資資金をどう用意するか、銀行への返済はどうするか、などなど、いろいろと大変なことがあり勘案すべきことは山積みです。しかしながら、先の事例では、とっても基本的なことについての視点が欠如しています・・・。
それは・・・

「どこからお金が入ってくるのか」

という点です。

言うまでもありませんが、不動産賃貸の投資のリターンはどこから来るのか、それは自分の不動産を借りてくれた人が毎月払ってくれるお金です。借りる側にとって、不動産のオーナーがどれだけのお金を使っているのか、どこからお金を借り入れているのかといったことは一切関係ありません。
リスクやリターンは、全て顧客志向に基づくものでなければなりません。投資者に見返りのお金をもたらしてくれるのは、銀行では無いのです。

そもそも、どこからどうやって自分にお金が流れてくるのかを念頭に置かなければ、リスクもリターンも考えようがありません。

紹介した事例のようなリスクの捉え方は問題があります。「自分がどれだけのお金を使ったか」「自分がどれだけの金銭的リスクを背負ったのか」といったことにフォーカスしすぎです。確かにそれも大事なのですが、こういったことはあくまで二次的なものに過ぎません。

ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン、市場の歪みを見つけろ、というのは、「自分・顧客・競合」の3者関係について理解することです。ただし、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンは、どちらかというと「自分」と「競合」にフォーカスした考えです。市場の歪みを見つけろというのは、顧客を優先に考えた上で「競合」と「自分」について考えていくことです。


歪みはいつの時代も常に存在しています。なぜなら、人々のニーズは多様であり変化していくものであるからです。

投資の世界において、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンはある種法則のように存在しているものではあるのですが、その法則から離れることも可能です。市場の歪みを見つけろとはそういうことです。大事なのは法則の背景には何があるのかということです。






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